会長挨拶
第60回日本心血管インターベンション治療学会 東北地方会
会 長 八木 卓也
(岩手県立胆沢病院
副院長/第1循環器内科長)
この度、第60回日本心血管インターベンション治療学会東北地方会の大会長を拝命いたしました、岩手県立胆沢病院の八木 卓也です。会期は2027年1月30日、会場は盛岡市のキオクシア アイーナを予定しております。
私たちが日々向き合う医療現場は、今まさに大きな転換期を迎えています。医療技術は日々進歩し、治療の選択肢はますます多様化しています。一方で、医療を取り巻く環境も大きく変化し、働き方改革、多職種連携、医師の世代交代など、これまでとは異なる形で知識や技術を次の世代へ引き継いでいくことが求められています。
かつて、インターベンション治療の技術継承は「見て覚える」ことが一つの大きな柱でした。先輩医師の手技を間近で見て、その判断や技術を自らの経験として身につけていく。その文化は、現在の我々の診療を支える大切な礎となっています。しかし、疾患や患者背景が複雑化し、治療戦略が高度化する現在においては、ただ背中を見て盗むだけでは十分ではありません。なぜその判断をしたのか、どこに注目しているのか、どのような経験がその一手につながっているのか――そうした暗黙知を自ら言語化し、可視化して次世代へ「魅せて伝える」ことが、これからの技術継承には不可欠なのではないでしょうか。
今回の東北地方会では、「見て覚えるから、魅せて伝える」を一つの大きなテーマとして、これまで培われてきた技術や経験を共有するだけでなく、それぞれの施設・世代・診療科が持つ知恵を持ち寄り、互いに学び合える場を目指したいと考えています。完成された技術を一方的に提示するのではなく、治療に至るまでの思考過程や工夫、時には失敗や悩みも含めて共有することで、参加者一人ひとりが明日からの診療に持ち帰ることのできる、実践的で刺激的な地方会にしたいと考えております。
EVTセッションでは、従来の枠組みを越えた新たな試みとして、外科の先生方にも多数ご参画いただきます。血管内治療と外科的治療、それぞれの立場から見える病態や治療戦略には、共通する部分がある一方で、それぞれにしか見えない景色もあります。内科と外科の垣根を越え、互いの技術や考え方、治療に対する哲学を「魅せて伝える」ことで、これまでとは異なる視点から治療戦略を考える機会になることを期待しています。
また、EVTに限らず、循環器インターベンションの現場では、経験豊富な術者から若手医師へ、あるいは施設から施設へ、さまざまな形で知識と技術が受け継がれています。しかし、その経験を個人の中だけに留めるのではなく、言葉や映像、ディスカッションを通して共有することで、それは一人の経験から皆の財産へと変わります。本地方会が、そのような「経験を共有する文化」を東北からさらに育てていくきっかけとなれば幸いです。
世代や施設の垣根を越え、さらに内科・外科といった診療科の垣根をも越えて、互いの技術や考え方に触れ、刺激を受け、そして新たな気づきを持ち帰る――。そのような、活発で自由闊達な議論が生まれる熱気溢れる地方会となることを心より期待しております。
盛岡・岩手の地で、皆様と直接顔を合わせ、「見て覚える」だけではなく、「魅せて伝える」ことの意味をともに考え、次の世代の循環器診療につながる新たな一歩を踏み出せることを楽しみにしております。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。